こころ、ふわり
芦屋先生は前と同じ、缶コーヒーを飲んでいた。
先生の休憩のおともには缶コーヒーがつきものなのだろうか。
心が舞い上がっていたのもあって、疲れが吹き飛んでしまった。
それから私たちはグランドをさらに何周か走らされ、いったん休憩をとるように言われたので弓道場へ戻ることにした。
「休憩終わってもまた走り込みかなぁ……」
すでにグッタリした菊ちゃんが弓道場の入口で入念に脚をマッサージしている。
「私、ちょっと顔洗ってくる」
私がそれを言い出したのは、水道がある水飲み場からだと渡り廊下がよく見えるからだった。
まだ芦屋先生がいるかもしれないと期待していたので、別に必要もない理由をつけて顔を洗いに行くことにした。
「休憩、あと5分だって」
と、菊ちゃんが教えてくれた。
「それまでに戻るね」
すぐに行こうとしたら、後輩の1人が私についてきた。
「私も顔洗いに行きます」
「じゃあ一緒に行こっか」
私たちは弓道場から少し離れたところにある水飲み場まで2人で移動した。