こころ、ふわり
水飲み場に到着し早速顔を洗っている後輩の横で、私は渡り廊下にいるはずの芦屋先生を探す。
もうすでに先生の姿はなかった。
少しガッカリしていると、ひょっこり芦屋先生が立ち上がったらしく姿を現した。
どうやらしゃがんでいたのか座っていたのかその場にはいたようで、また立ち上がってコーヒーを口に運んでいた。
芦屋先生はすごく顔が整っているとか、そういう訳ではない。
でも、あの涼しげな顔から優しい顔になって、穏やかな柔らかい笑顔になるところとか、とても魅力的だと思う。
それにボーッとした様子でグランドを見ている横顔。
それさえも素敵に思えた。
すると、ふと芦屋先生がグランドから視線を外す。
その視線がこちらへ向けられた。
一瞬、時が止まったような気さえした。
芦屋先生は私を見ていた。
いや、でも。
もしかしたらたまたまこっちに何かあって、それで視線が向いてるだけ?
何度も思い直そうとしたけれど、どうしても私と芦屋先生の目が合っているような、そんな気がしてならなかった。