こころ、ふわり


そして、そのうち左手の違和感にも気がつく。


後輩をかばった時に弾みでどこかに左手を打ち付けてしまったらしい。


騒ぎを聞きつけて、菊ちゃんや他の弓道部員まで私たちのところへやって来た。


「萩、萩!どうしたの!?」


なぜか菊ちゃんの方が涙ぐんでいた。


「大丈夫」


私はそれだけ言ってできるだけみんなを安心させたくて笑ってみた。


「芦屋先生!」


と、菊ちゃんの声がひときわ大きくなった。


たぶん、先生の耳にもこの騒ぎが入ってきたに違いない。


「吉澤さん、大丈夫?」


芦屋先生はすぐに私の元へ来て、しゃがんで顔をのぞき込んできた。


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