こころ、ふわり


「歩けない……みたいです」


私が素直にそう言うと、芦屋先生はすぐに菊ちゃんに向かって


「ちょっと協力してもらってもいいかな」


と手招きした。


結局、私は先生と菊ちゃんに両脇を支えてもらう形で保健室へ向かうことになった。


廊下を行く間も、下校途中の生徒に見られてとても恥ずかしい思いをしてしまった。


もう少し運動神経が良かったのなら、あの打球を避けることができたのかな。
みんなに迷惑をかけることもなかったのかな。


菊ちゃんだって練習したいだろうに私に付き合ってくれてるし、芦屋先生だって大事な休憩時間を削って私のために保健室まで連れていってくれているのだ。


申し訳ない思いに駆られているうちに、保健室に到着した。


< 119 / 633 >

この作品をシェア

pagetop