こころ、ふわり


クニコ先生は手早くカーテンを引いて周りに見えないようにすると、私の袴を脱がせて脇腹を見てくれた。


「こっちの脇腹の怪我はアザになってるけど……明日病院に行った方が良さそうだね。もしかしたら肋骨にヒビ入ってるかもしれないし」


「はい」


やっぱりそうか。
なんとなく予想はついていた。


脇腹の痛みが1番強くて、息を大きく吸うと激痛が走る。


「足首は応急処置するからね」


私の左足首をクニコ先生が慣れた手つきでテーピングで固定していく。


「クニコ先生……、今週末の試合、出られると思いますか?」


おそるおそる、聞きたかったことを尋ねてみる。


クニコ先生は少し考えてから


「気持ちは分かるけど、この状態では難しいと思うなぁ」


と言った。


「そうですよね……」


自分がよく分かっていたはずなのに、どこかで大丈夫かもと思っていた。
でもこんな怪我をして無理矢理試合に出たところで、団体戦なのだからみんなの足を引っ張ることは明白だった。


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