こころ、ふわり
左手の違和感も引っかかっていた。
足首にテーピングを巻いてもらっている間に、左手を天井にかざしてみる。
左手の甲と中指が腫れていた。
こっちにもヒビが入ったかな。
驚くほど自分でも冷静になっていた。
普段の私ならその場で泣いていたかもしれないけれど、あの時、後輩をかばったから彼女のためにも泣いてはいけないと思っている。
彼女をかばったのは後悔していない。
うまく握ることの出来ない左手を、私はそっと引っ込めた。
「少し休んでから帰りなさいね」
クニコ先生は私を気遣ってなのか、あまり話しかけてくることもなくそう言って、静かにカーテンを閉めた。