こころ、ふわり


どのくらい休んだのか分からなかったけれど、いつの間にかウトウトしてしまったようで、部活を終えた菊ちゃんや後輩たちが保健室に来た音で目が覚めた。


保健室は電気がついていて、クニコ先生は私が目覚めるまで待っていてくれたらしい。


「みんな来てくれたわよ」


カーテンを開けて私に声をかけてくれた。


「萩、大丈夫……?」


そう尋ねてくる菊ちゃんの顔は、さっき見た時と同じように泣きそうな表情だった。


菊ちゃんの後ろに私がかばった後輩がいて、とても心配そうにこちらを見ていた。


「吉澤先輩、本当にごめんなさい」


「みんな、心配かけてごめんね」


私はニコッと笑って、とにかくこの場を明るくしのぎたい一心で


「当たりどころ悪かったみたいで、一応明日病院行ってみる。でも大丈夫。私は元気だから」


と動く右手で菊ちゃんたちに手を振った。


「歩ける?一緒に帰ろう」


菊ちゃんはすぐに、立ち上がろうとした私を支えようと肩を貸してくれた。


「菊ちゃん、ありがとう。今日は親に迎えに来てもらうから、菊ちゃんは先に帰って」


「え?でも……」


少し迷ったように菊ちゃんは私の顔色を探ってきた。


「駅まで歩くのも時間かかると思うの。だから電話して来てもらうよ」


本当にそのつもりだったし、私のせいでみんなを引き止めたくないというのも本心だった。


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