こころ、ふわり


「そっか、分かった」


菊ちゃんはうなずいて、一緒に来た後輩たちに


「じゃあ下校時刻も過ぎてるし、私たちは帰ろう」


と声をかけていた。


「萩、ほんとに気をつけてね。明日の朝とか、歩くの大変な時電話してね。手伝うから」


「うん。ありがとね」


私がお礼を言うと、弓道部のみんなが保健室から出ていった。


「吉澤さん、無理しないでね」


そう言ってくれたクニコ先生の声も、心なしかいつもよりトーンが低くて私を心配してくれているのがよく分かった。


「先生、ありがとうございました」


私は先生に深く頭を下げて、保健室を出た。

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