こころ、ふわり


「先生、私は大丈夫」


私は自分のこのドキドキを先生に悟られたくなくて、芦屋先生から顔をそらしてそれだけ言った。


そして靴を履き替えたあと1人で外へ行こうとしたところで、


「吉澤さん、こっちに来て」


と芦屋先生から言われた。


「え?」


一瞬、何を言われているのか理解出来なくて聞き返してしまった。


戸惑う私の元へやって来た芦屋先生は、


「送るよ」


といつものように優しく笑った。


送る?
送るってどこに?
どうやって?


「先生、でも……」


どうしたらいいのか分からなくて、とりあえずその場で立ち尽くしていると


「さすがにその怪我で1人で帰すのは、ちょっと心配だから」


と先生は私を違う場所から出るように促した。


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