こころ、ふわり
それは真司の勢いに押されてなんとなく返事してしまっただけだ。
芦屋先生が好きなのに他の男の子と遊ぶなんて私には絶対出来ない。
「真司、でも私は……」
「約束な」
言いかけた私をさっきと同じように遮って、真司はそっと私の手を離した。
「絶対、優勝するから」
彼の言葉に、私はなにも返せなかった。
どうしてこんなタイミングで言い出すの?
全然気づかなかったよ、真司の気持ち。
それなのに私は……。
私は芦屋先生のことが好きなのに。
この想いは変えられそうもないのに。
でも、真司の気持ちも言葉もとてもまっすぐだったから、この場でそれを伝えることが出来なかった。