こころ、ふわり


私が顔を窓の方へ向けたままでいると、後ろから澪の声がした。


「萩、今日ひとりなの?」


「あ」


私が振り返ると、澪も1人で参加なのかいつも一緒に来ている男子生徒の姿が無かった。


「うん。真司は明日大会だから練習に行ったの」


「こっちもそう。私もともと帰宅部だから押し付けられちゃった」


澪は笑って私の隣に座ってきた。


彼女が座った時にフワッと甘い香水の香りがした。


さりげなく香水とかをつけたりしているところが、私とは違うなと実感する。


澪は同い年とは思えないくらい大人っぽくて、外で徳山先生と会っている時は化粧をしていたからもあるけれど年上に見えた。


同性の私でも思わず見とれてしまうほど綺麗な顔立ちだった。


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