こころ、ふわり
「告白はされたけど、まぁ私はその人のことよく知らないし、とりあえず連絡先交換して……今はメールとか電話してやりとりしてる感じかな」
菊ちゃんはそう言って、思い出したように
「同い年の男の子だよ。名前は村田くん」
「へぇ〜、いいなぁ」
そういうことって実際にあるのだと正直驚いた。
相手が自分のことをまったく知らないのに告白するなんて、相当な勇気が必要だと思った。
仮に菊ちゃんに彼氏がいたり、好きな人がいたらどうするつもりだったのだろう。
「好きって言ってもらうことって嬉しいよね」
菊ちゃんはミルクティーを飲みながら、どこか幸せそうな満たされた顔をしていた。
私は彼女の言った言葉で、真司のことを思い出してしまった。
好きだとハッキリ言われたわけではない。
でも彼の気持ちはもう分かっていた。
「で?萩は?」
私の話も楽しくてドキドキする話だと思い込んでいるらしく、菊ちゃんはウキウキしたように私の話を聞きたがった。
なんとも話しづらい雰囲気になってしまった。