こころ、ふわり


映画も佳境を迎えた頃。


隣から寝息が聞こえてきた。


まさかと思って隣の真司を見つめると、彼は気持ちよさそうに眠りについていた。


思わず吹き出しそうになってしまった。


怪我をしてあまり歩けない私に配慮して映画を選んでくれたのかもしれない。


耐えきれずに眠ってしまったのかな。


映画が終わると、自然に目が覚めた真司が「しまった」というようにハッとして私を見てきた。


「ごめん、寝てた」


「部活で疲れてるんじゃない?」


私がちょっと心配になってそう言うと、彼は即座に否定してきた。


「全然疲れてない。そこは気にしないで。メシでも食べに行くか」


腕時計を見ると、お昼の時間帯を過ぎていた。

< 210 / 633 >

この作品をシェア

pagetop