こころ、ふわり

私はこんな時なのに、真司が羨ましいと思った。


素直に思っていることを口にして相手に伝えるのは勇気がいることだし、自分が傷つく可能性だって高い。


それでも私に隠さず話す姿はとにかくまっすぐで、言葉のひとつひとつが胸に突き刺さる。


「今日は俺のワガママに付き合ってよ」


真司はそうつぶやいて、私の手を強く握る。


いつの間にか私は自然にうなずいてしまっていた。


「ありがとな」


と、真司が笑う。


どうせ真司とだから、ドキドキなんてそんなに無いデートになると思っていた。


いつもみたいに私のことをからかったり、バカにしてきたりすると思っていたのに。


真司は今日はそういうことは一切言わなかった。