こころ、ふわり


でも学校内で2人きりになれることなんてほとんどないし、こういう時でもないとちゃんと話せないと思ったのだ。


不満そうな私の顔に気づいたのか、真司はひと息つくと立ち上がった。


「じゃ、隣の教室に行く?」


私は即座に一緒に立ち上がる。


そんな私たちを、澪がじっと見ているのが分かった。


「?」


私が首をかしげたのが見えたのか、澪は少しだけ微笑む。


何かを言いたげな瞳だった。


「萩、行くぞ」


澪をぼんやり見つめている私を、真司が手招きする。


「あ、ごめん」


慌てて彼の背中を追った。

< 242 / 633 >

この作品をシェア

pagetop