こころ、ふわり


どんどん不安が押し寄せてくる。


家に帰れない不安と、芦屋先生にとんでもない多大な迷惑をかけている不安。


やがて、芦屋先生は諦めたのか地図を閉じた。


「誰か友達の家に泊めてもらうのはどうかな?」


先生がそういうことを言ってきたということは、本当に私は今日のところは家に帰ることが出来ないということだ。


急に泊めてほしいとお願いして、失礼のない友達は菊ちゃん。


お母さんとも仲良くさせてもらってるし、承諾してくれるだろう。


私は先生にうなずいて見せて、携帯を取り出すと菊ちゃんにすぐに電話をかけた。


対向車のヘッドライトが私たちを照らす。


芦屋先生はとても心配そうな顔でこちらを見ていた。


それなのに、何回コールが鳴っても菊ちゃんは電話に出ない。


「ダメだ……繋がらない。何かしてるのかなぁ」


私は仕方なく携帯を切った。


そのまま携帯を握りしめて、芦屋先生をチラッと見る。


「どうしよう……先生」


先生だってきっと困ってる。


同じように、どうしようと思っているに違いない。


< 260 / 633 >

この作品をシェア

pagetop