こころ、ふわり
どんどん不安が押し寄せてくる。
家に帰れない不安と、芦屋先生にとんでもない多大な迷惑をかけている不安。
やがて、芦屋先生は諦めたのか地図を閉じた。
「誰か友達の家に泊めてもらうのはどうかな?」
先生がそういうことを言ってきたということは、本当に私は今日のところは家に帰ることが出来ないということだ。
急に泊めてほしいとお願いして、失礼のない友達は菊ちゃん。
お母さんとも仲良くさせてもらってるし、承諾してくれるだろう。
私は先生にうなずいて見せて、携帯を取り出すと菊ちゃんにすぐに電話をかけた。
対向車のヘッドライトが私たちを照らす。
芦屋先生はとても心配そうな顔でこちらを見ていた。
それなのに、何回コールが鳴っても菊ちゃんは電話に出ない。
「ダメだ……繋がらない。何かしてるのかなぁ」
私は仕方なく携帯を切った。
そのまま携帯を握りしめて、芦屋先生をチラッと見る。
「どうしよう……先生」
先生だってきっと困ってる。
同じように、どうしようと思っているに違いない。