こころ、ふわり
私はなんとか言葉をしぼり出した。
「せ、先生は……」
声が震える。
「先生は……嫌じゃないですか?私なんかを家に入れるの」
「嫌じゃないよ」
先生は答えたあとで
「吉澤さんは?」
と聞いてきた。
「嫌じゃないです」
答えながら、これは夢だと思った。
これはきっと、長い夢なんだ。
だってそうじゃないとおかしい。
私が芦屋先生の家に行くなんて、誰が想像出来ただろう?
「じゃあ、そうしようか」
先生は微笑むと、車を再び走らせた。
現実か夢か分からないようなフワフワした気持ちで、私はただただ窓の外を見つめていた。