こころ、ふわり
その後、何度も拒否したものの、私が寝室のベッドで寝て、芦屋先生はソファに寝ることになった。
ソファで寝たいと言っても先生は聞いてくれなかった。
引き戸の扉を閉めようとする芦屋先生の姿を見ていたら、なんだか寂しくなってしまった。
この仕切りがあることによって、私たちの間にも仕切りがあるような気がした。
「開けっ放しじゃダメですか?」
そのような提案をしてみたけれど、先生は首を振った。
「ダメ」
「どうしてですか?」
「どうしても」
先生があまりに頑なに断るので、私も仕方なく諦めることにした。
「吉澤さん、おやすみ」
扉を閉める前に芦屋先生が声をかけてくれたので、私も
「おやすみなさい」
と返事をした。