こころ、ふわり
芦屋先生は私が色んなことを思い巡らせているのに気づいているのかいないのか、そのあとはテレビから流れる情報番組を見ていた。
先生のそういう話をこのタイミングで聞くことになるなんて、思ってもみなかった。
前の彼女のことを気にしていても仕方ないのに、それが出来ない私はやっぱりまだ子供なのだろう。
急いで違う話をしなくてはと思っていたところへ、先生が思い出したように私へ視線を移してきた。
「そういえば、あの冠水した道路はどうなっただろうね」
「あ、確かに……」
先生に言われて初めて私も道路のことを思い出した。
「先生。駅まで送ってもらえれば大丈夫です!電車で帰れますから」
もうこれ以上先生に迷惑はかけられない。
「その申し出はありがたいけど、まだ電車も通常通りに動いてるわけじゃないみたいだよ」
先生はテレビの画面の上部に映し出された公共交通機関の臨時ニュースを見て、私に微笑む。
「今日こそは帰らないと。ご両親が心配してるよ」