こころ、ふわり


この日の授業では、針金を使って何か好きなものを作るという内容だった。


1本の長い針金を自由に曲げて、ひとつの物を作り上げるのだ。


針金の束とニッパーを1つずつ生徒たちに配っていく。


「俺はこんな感じで木を作ってみたんだけど」


と、芦屋先生はどこからともなく手のひらに乗るくらいの作品を取り出した。


みんなに見えるように少し上に差し出す。


なんとなく生徒たちがざわめくくらい、その作品の出来がリアルだった。


1本の針金で作られたとは思えないくらい、リアルな1本の木。


そういえば以前、私が風景画を放課後に描いていた時に先生も針金で何かを作っていた。


あれはこの作品だったのか、と感心した。


「みんなは野菜とか花とか、もう本当になんでも構わないので好きなように作ってみてね」


先生の言葉を聞いて、私は自分が大好きなガーベラの花にしてみようとなんとなく思い浮かべた。


菊ちゃんはリンゴにすることにしたらしい。


私たちは早速作業に取りかかった。

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