こころ、ふわり


芦屋先生が里美を連れて保健室から戻ってきたのは、しばらく経ってからだった。


クニコ先生に処置してもらったのか、怪我をしてしまった指には包帯を巻いていた。


そしてさっきと違うところは、里美が笑顔になっていたことだった。


先生と何を話したのかな。


私は完全に手が止まってしまって、どう見てもガーベラには見えない自分の作品に笑いが込み上げてきた。


「もう蛇にしようかな」


私がそう言うと、菊ちゃんは吹き出していた。


「あはは、それいい!」


でもまさかそういうわけにもいかず、結局ガーベラに近づけられるように針金と悪戦苦闘するのだった。


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