こころ、ふわり
16 空回り
━━━━━冬休みに入ってからも、いつもと変わらずに毎日部活のために学校へ通っていた。
来年の今頃は、受験勉強に必死になっているのだろうか。
雪がちらつくなか、私と菊ちゃんは毎日のように帰りにファーストフード店に足しげく通い、何かしら食べて帰っていた。
「萩ってクリスマスどうするの?」
フライドポテトを頬張りながら菊ちゃんに尋ねられた私は、ギクッと体が震えた。
「どう……って?」
私が聞き返すと、菊ちゃんは今度はジュースを飲みながら
「どうもこうも。今年は私は村田くんと過ごすからさ。一緒にパーティとか出来ないし申し訳ないなって」
と苦笑いした。
そういえば去年のクリスマスは菊ちゃんが私の家に泊まって、海外の恋愛ドラマ耐久24時間という無謀でちょっと楽しい企画を2人でやったんだっけ……。
お菓子やジュースの食べすぎで、2人とも翌日には3キロも太ってしまった。
「い、家で家族で過ごそうかな」
適当にありもしない予定を話すと、一瞬菊ちゃんの鋭い目が私に向けられたような気がした。
「ふーん?その怪しい態度は真司にでも誘われたとか?」
「違うよ!」
全力で否定する私を見て、彼女は面白そうに笑うのだった。
「もう、本当に萩は冗談通じないんだから」