こころ、ふわり


ケーキを食べたあとすぐにネックレスを買いにカフェを出た私たちは、とりあえず私がよく行く雑貨屋さんに行くことにした。


菊ちゃんとよくお揃いでポーチを買ったり、ブレスレットを買ったりするお店だ。


混雑する店内で商品を選ぶ私と、少し距離を置いて待っている先生。


先生はキョロキョロと店内を見ていた。


こういうお店って男の人はなかなか来ないだろうから、物珍しい感じもするのかな。


さっきのカフェでの女の人がつけていたデザインに似たネックレスがあったので、それを先生の元へ持っていくと、


「これってメッキかなぁ?」


と聞かれた。


「メッキ?」


「素材のこと。メッキ加工だと、最初はゴールドに見えるけど使っていくうちに汗とかで変色してしまうんだよ」


先生は私の知らない言葉や知識をたくさん持っていて、私の頭ではとうてい追いつかない。


そのネックレスの金額を見て、


「安すぎるからメッキだな」


と私に渡してきた。


「これは返してきて」


「えっ?でも……」


これでいいんです、と押し切れるはずもなく、私はネックレスを元の場所に戻した。

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