こころ、ふわり


家の近くまで来たので、芦屋先生は車を停車させた。


外は雪が少し降ってきたところだった。


シートベルトを外した私は、ずっと渡したかった紙袋をようやく出して先生に差し出した。


「先生、これ。私からのクリスマスプレゼント」


「え?」


先生は目を丸くして驚いていた。


「用意してくれてたの?気づかなかった」


「たいしたものじゃないんです。勝手に選んじゃったし」


私がもごもごと先に言い訳をしている中、先生はすぐに中身を開けてくれた。


百貨店の店員さんにオススメしてもらったボールペンと、藍色のハンカチ。


取り出した先生は「ありがとう」と笑顔をうかべた。


「どっちも普段から使えるものでありがたいよ」


「良かった……」


先生の笑顔を見ていると、こっちまでポカポカした気持ちになれる。


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