こころ、ふわり
私と真司が委員会がおこなわれる教室へ行くと、だいたいの人が集まっていて、その中に芦屋先生もいた。
先生を見た途端に私の心臓は予想を裏切ることなくドックンドックン響き始めて、思わずノートで顔を覆った。
「萩!何してんだよ、来いって」
先に席についた真司に呼ばれて、私はそーっとノートの隙間を頼りに彼の隣に座る。
チラッと芦屋先生を見やると先生は全く私の方は見ておらず、なんだか拍子抜けしてしまった。
平常心、平常心と言い聞かせてようやくノートを顔から離す。
「お前、熱でもあるのか?」
真司が不思議そうに私の顔をのぞき込んでくる。
「顔がすごい赤いんだけど」
「そ、そう?もともとこんな顔色だけど?」
「タコじゃん。タコ萩」
ニヤリと真司が笑ったのを見て、私は嫌な予感がした。
これからしばらく「タコ萩」というあだ名がつけられるような、そんな予感。