こころ、ふわり
そうこうしているうちに、進行役の高野先生がやって来て委員会が始まった。
高野先生は私たち生徒に修学旅行の冊子作りのページ配分を説明し、それぞれ担任の先生と協力して作り上げるように言った。
やることが急に増えてきて気が重くなる。
少し前までは怪我をしたこともあり時間に余裕があったから良かったけれど、今は部活も再開したし時間をとるのが少し大変だった。
高野先生の話を聞きながら、ノートを開く。
担任の星先生の文字で、ホテルの見張りの配置や時間などが細かく書かれていた。
私と芦屋先生が一緒の場所になることは無いし、彼と徳山先生は若いという理由で星先生のお気に入りだ。
変に会話して疑われるよりは、芦屋先生と話さない方がいいのだろうな。
そんなことを考えながら、星先生の綺麗な字をただただ目で追っていた。
すると、後ろの席に座っていた女子生徒から肩を叩かれた。
振り返ると、なにやら小さな紙を持っている。
その紙には「萩へ」と書かれていたので、すぐに開いてみる。
澪からの手紙だった。
『委員会が終わったら少しだけ話したい。澪』
とそれだけ書いてあった。
澪の方を見ると、彼女が私を見つめていたのでうなずいて見せた。
澪はニコッと微笑み、視線を高野先生に戻した。