こころ、ふわり
そつなく委員会が終了したところで、私はすぐに澪の元へ駆け寄った。
「萩、ごめんね。部活に行かなきゃいけないのに」
澪はそう言って、教室の中から人が出ていくのを確認してから
「この間のお礼がしたいの」
と私の手を取った。
「お礼?」
少し驚いて彼女の手を握り返す。
彼女が言うこの間というのは、澪の元彼に私が脅されたことのことを差しているとすぐに分かり、私は首を振った。
「お礼なんていらないよ」
「そう言うと思った」
私の返答を予想していたのか、澪は苦笑いを浮かべて「でもね」と続けた。
「萩がよくても、私はお礼がしたいの。透もそう言ってるから、お願い」
徳山先生の名前を出されると、さすがの私も断りづらい。
口をつぐんでいたらその隙をつくように
「明日の夕方、時間空けてくれる?透の家に来てほしいんだ」
と笑った。