こころ、ふわり











そつなく委員会が終了したところで、私はすぐに澪の元へ駆け寄った。


「萩、ごめんね。部活に行かなきゃいけないのに」


澪はそう言って、教室の中から人が出ていくのを確認してから


「この間のお礼がしたいの」


と私の手を取った。


「お礼?」


少し驚いて彼女の手を握り返す。


彼女が言うこの間というのは、澪の元彼に私が脅されたことのことを差しているとすぐに分かり、私は首を振った。


「お礼なんていらないよ」


「そう言うと思った」


私の返答を予想していたのか、澪は苦笑いを浮かべて「でもね」と続けた。


「萩がよくても、私はお礼がしたいの。透もそう言ってるから、お願い」


徳山先生の名前を出されると、さすがの私も断りづらい。


口をつぐんでいたらその隙をつくように


「明日の夕方、時間空けてくれる?透の家に来てほしいんだ」


と笑った。


< 382 / 633 >

この作品をシェア

pagetop