こころ、ふわり


「も、もしもし」


通話ボタンを押して電話に出ると、芦屋先生の低い声が聞こえた。


『ごめんね、遅くに電話して』


「いえ!何かありましたか?」


私が尋ねると、先生は電話の向こうで少し困ったような声で


『徳山先生に明日食事に来ないかって誘われたんだけど、きっと吉澤さんも誘われたよね?』


と聞いてきた。


私はまさか芦屋先生のことも誘っているとは思っていなかったので、部屋のベッドに腰を下ろしてから答えた。


「澪に、この間のお礼がしたいからって誘われました」


『やっぱりそうか。じゃあ2人でお邪魔しようか』


「はい、分かりました」


私は承諾して、短い電話を切った。


徳山先生の家に行くことになるなんて、なんだかまだ信じられなかった。


澪が毎週末、泊まりに行くという徳山先生の家。


そう思うだけでドキドキしてしまった。


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