こころ、ふわり
━━━━━翌日。
午前中に澪から来たメールに、徳山先生の住所が書いてあった。
時間は17時半頃に来てもらいたいと。
芦屋先生とは1時間前に待ち合わせて、近所の洋菓子店で焼き菓子の詰め合わせを購入して、徳山先生の家へ向かった。
前々から分かってはいたけれど、芦屋先生の車にはナビがついていない。
芦屋先生はたびたび地図を取り出して現在位置を確認しながら、なんとか予定時刻ギリギリに徳山先生の家へたどり着いた。
「立派なマンション……」
駐車場に車を停めて、降り立った私がマンションを見上げる。
白塗りの綺麗な高層マンション。
そこの7階に、徳山先生の家があるらしい。
4人で食事をする姿がいまだに想像もつかなくて、どんな空気感なのかとか、どんな会話をするのかとか、色々な不安がつきまとった。
マンションのエレベーターに乗り込んだところで、芦屋先生が私の顔色を見て微笑んだ。
「緊張してる?」
「か、顔に出てますか?」
私が両手で顔を覆うと、先生は
「言わない方がよかったね。余計緊張させてしまったかな」
と頭をポンポンと撫でてくれた。