こころ、ふわり


むしろ私としては、久しぶりに芦屋先生とちゃんと話しているということも緊張している原因のひとつでもある。


なるべく思い出さないようにしていたのに、先生とキスしたことを思い出してしまってそれだけで恥ずかしい。


先生はそんな私には気づいていないだろう。


自分だけが緊張していて、いつになったら慣れるのかとも思う。


7階のフロアを歩いて徳山先生の家の前まで来て、そこで芦屋先生がインターホンを押した。


「はーい」


と明るい女の子の声。


澪の声だとすぐに分かった。


鍵が開く音がして、ドアがゆっくり動く。
中から澪が出てきた。


「こんにちは。どうぞ」


澪は私と芦屋先生を確認して、ドアをグッと広く開けてくれて玄関に通してくれた。


「お邪魔しまーす」


玄関で靴を脱いだ時、リビングと思われる部屋から徳山先生が出てきた。


「わざわざ来てくれてありがとう」


私は急いで頭を下げた。


「お、お招きいただき、ありがとうございます」


徳山先生は私の挨拶の仕方が面白かったのか、いつもみたいに笑いを堪らえていた。


私の何がそんなにツボにハマるのか分からないけれど、この間もかなり笑われたのでちょっと引っかかる。

< 386 / 633 >

この作品をシェア

pagetop