こころ、ふわり


リビングのローテーブルにはすでに料理が並べてあって、なんともいい匂いがしてたまらない。


ピザやパスタだけでなくポテトサラダとか鳥の唐揚げもあって、私のお腹がまた鳴りそうになって急いで咳払いをした。


「こんなにたくさん、すみません」


芦屋先生が気をつかって2人にそう言っているのが聞こえた。


「ほとんど澪が作ったからね。味は保証するよ」


そう返しながら徳山先生が冷蔵庫からビールを2本取り出している。


「車で来たんて飲めないです」


「そんなこと言わずに」


と、先生2人がビールを飲むか飲まないかのやり取りをしている間に、私は澪に感動を伝える。


「澪って料理上手なんだね!すごいなぁ」


「そんなことないよ」


嬉しそうに笑う澪はいつもより一段と大人びて見えて、無造作に縛っている髪の毛とか、タイトなニットワンピを着こなしている姿とか、すべてが私には無い要素だと思った。


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