こころ、ふわり
「改めて、ちょっとここで話をさせてもらいたんだが」
和やかな雰囲気になったところで徳山先生が話し出す。
「この間の澪の件では2人に迷惑をかけてしまって、本当に申し訳なかったと思ってる。ありがとう」
「萩、ありがとう」
澪も改まった様子で私にお礼を言ってくれた。
私は本当に何もしてなくて、ただ澪と一緒に帰っただけ。
大変な思いをしたのは最後の日だけだった。
「芦屋先生のストライクには驚かされたけど」
と、徳山先生が芦屋先生に目を向ける。
急に話をふられた芦屋先生は、自分の話題になるのは苦手なのか
「たまたま当たっただけですよ」
と苦笑いした。
「でも、芦屋先生って野球部だったんでしょ?意外だな〜。ポジションどこですか?私、中学の時に野球部のマネージャーやってたから詳しいんです」
澪は楽しそうに芦屋先生に質問していて、先生が「サード」と答えるのを聞いて納得していた。
私はというと、野球にはまったく興味も無かったしルールも知らないので、ポジションの名前すらもよく分からなかった。