こころ、ふわり


食事もひと段落したあとは、澪が食後のお茶を用意してくれた。


私と芦屋先生が持っていった焼き菓子を早速出してくれて、みんなでそれを食べながらお茶を飲んだ。


徳山先生にすすめられるままに、ビールを大量に飲んだ芦屋先生はとても眠そうだった。


「先生、大丈夫ですか?」


帰りが不安になり芦屋先生にそう尋ねてみると、先生は問題ないという風に手を振り


「代行呼ぶから平気だよ」


と言うのだった。


「だいこう?」


言葉の意味が理解出来ずに首をかしげた私に、徳山先生が


「代行タクシーのこと。飲酒した運転手の代わりに車を違う人が運転して、車ごと家まで送ってくれるんだ」


と答えてくれた。


そんな便利なタクシーがあることも知らなかった。


そのうち芦屋先生はソファにもたれて眠ってしまった。


「飲ませすぎたんじゃない?」


澪がどこからともなく毛布を持ってきて芦屋先生にかけてあげていた。


「意外と酒には弱いんだな」


そう言う徳山先生は飲み足りないらしく、ウィスキーを追加して飲んでいた。


< 390 / 633 >

この作品をシェア

pagetop