こころ、ふわり


当然のように徳山先生と澪は一緒の寝室に入っていった。


変な妄想が頭の中を駆け巡り、私は1人和室で自分の頬を強く叩いて妄想を追い払おうとした。


2組くっついている布団を離してみたり、元に戻してみたり。


間をとって、少し距離を置いてみたり。


そんなことをやりながら、何をしているのかと我に返って布団に潜り込んだ。


とにかく芦屋先生がお風呂から戻ってくる頃には寝ていたい。


ギュッとかたく目をつぶって、ひたすら羊を数え続けた。






だいぶ時間が経って、私が羊を1108匹数え終えた時、芦屋先生が和室に入ってくる気配がした。


和室の照明は豆電球のみにしておいたし、先生に背中を向ける格好をとっているので私の顔は見えないだろう。


かまわずに1109匹目を数えようとしたら、先生の声が聞こえた。


「もう寝た?」


私は自分の心臓がうるさく鳴り出してしまったので、またギュッと目を閉じた。

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