こころ、ふわり
そしてこの日、朝からいくつかバレンタインのチョコをもらって周りに冷やかされている人がいた。
真司だった。
意外と女の子に人気があるのは知っていたけれど、同級生や後輩の数人からすでにいくつか受け取ったらしい。
彼は去年の大きな台風の日に私が芦屋先生の家に泊まったことを、おそらく知っている。
でも、あれから何も言われない。
芦屋先生のことも聞かれないし、前に私のことを好きだと言ってくれたことに関しても触れない。
ただいつものように、私をからかったり、ちょっかいをかけてきたりはする。
他に好きな子が出来て、私のことは友達と思うようになったのだろうと思っていた。
だから、私からそのことを聞くつもりもなかった。