こころ、ふわり
私は自分の嫉妬心に戸惑っていた。
こんな感情が自分の中にあったんだと思うと、これから先が怖い。
「嫌だな、面倒だなって思われたかなって不安で」
涙を必死に拭いながらそう言うと、先生は笑っていた。
「こんなことで思うわけないだろ。むしろ新たな一面を見れて少し嬉しいんだけど」
まさか嬉しいとまで言われるなんて、5分前までは想像もできなかったことだった。
「そんなに気をつかわないで、素直に思ったことを言っていいんだよ。そのままの萩でいてほしいんだ」
あぁ、なんて温かい人なんだろう。
私は先生の中にある優しさと温かさに改めて触れたような気がした。
私が嫌いな自分の感情のことまで理解してもらえる人ってそうそういない。
「先生、ありがとう」
素直に、思ったことを言う。
繰り返し頭の中で唱えて、私は先生に笑いかける。
「大好き」
「えっ?」
先生は目を丸くして聞き返したあと、
「そういうことは運転中に言わないでくれるかな」
と恥ずかしそうに頭をかいた。
はい、と返事をしながら、私は自分の心があっという間に晴れやかになっていくのを感じた。