こころ、ふわり
19 時間制限
バレンタインデーの一件が落ち着き、芦屋先生の大人の対応にも感動したけれど、自分の子供っぽさも実感した。
そのままの私でいいと先生は言ってくれた。
でも、少しずつでも私も先生に追いつきたいと思っていた。
それから私が口裏を合わせたおかげで、菊ちゃんは無事に土曜日の夜に村田くんとお泊まりしたらしい。
報告メールの最後に、
『もし萩が先生とお泊まりする時は、うちに泊まってることにしていいからね』
と、なにやら可愛らしい絵文字付きでこんな文章が送られてきた。
動揺して1人で部屋で咳き込んだあと、私は出かける準備を始めた。
日曜日。
この日は芦屋先生と行こうと約束していた、クロード・モネの展覧会だった。
私はずっと楽しみにしていた。
画集を先生に借りた時に、載っていた絵はほとんど覚えている。
今日それを実際に見れるなんてこんな機会は滅多にない。
身なりを整えてから、以前も着用したニット帽とマスクに加えて伊達メガネも準備した。
それらをすべて身につけて、家を出た。