こころ、ふわり
風邪でも引いたのかというようなファッションに身を包んだ私と芦屋先生は、顔は隠れているのになんだか楽しくて、マスクをしていても目を見れば先生が笑っているのも分かった。
その出で立ちのまま、車を市街地のパーキングに停めて美術館まで歩いた。
美術館は思っていた通り、なかなかの盛況ぶりで展覧会は賑わっていた。
年齢層はどちらかといえば年配の人が多くて、時々親子連れで私と似たくらいの世代の子がいるくらいだった。
入場券を購入し、中に入る。
画集やインターネットでしか見たことのなかった、クロード・モネの絵の世界が広かっていた。
「わぁ……すごい」
私が圧倒されていると、芦屋先生に手招きされた。
順路が矢印で表示されており、それにならって並びながら絵を見て回った。
ひとつひとつの絵に細かな解説文が添えてあり、逃さないようにすべて読んだ。
「綺麗だね」
先生は目を細めて絵に魅入っていた。