こころ、ふわり


カレーを煮込んでいる間に、私と先生はそれぞれ紅茶とコーヒーを飲みながら色々な話をした。


他愛もない話だけれど、穏やかな優しい時間が流れているようでなんとなく癒される。


話しながら、先生の前髪とかまつ毛とか、細かいところを何気なく見たりして。


2人きりの時にしか感じられない幸せな気持ち。
こんなに間近で顔を合わせて話せるなんて嬉しい。


「修学旅行まであと少しだね」


「えっ?」


先生に見とれていたからか、一瞬話を聞き逃しそうになってしまった。


「実行委員は当日も大変だろうけど、あまり無理しないでね」


いつだって先生は私のことを気づかってくれて、考えてくれているんだということが分かる。


「ホテルの見張りだけが、気が重いです」


私がそうつぶやくと、「そうだね」と先生は苦笑いしていた。


< 430 / 633 >

この作品をシェア

pagetop