こころ、ふわり
カレーを煮込んでいる間に、私と先生はそれぞれ紅茶とコーヒーを飲みながら色々な話をした。
他愛もない話だけれど、穏やかな優しい時間が流れているようでなんとなく癒される。
話しながら、先生の前髪とかまつ毛とか、細かいところを何気なく見たりして。
2人きりの時にしか感じられない幸せな気持ち。
こんなに間近で顔を合わせて話せるなんて嬉しい。
「修学旅行まであと少しだね」
「えっ?」
先生に見とれていたからか、一瞬話を聞き逃しそうになってしまった。
「実行委員は当日も大変だろうけど、あまり無理しないでね」
いつだって先生は私のことを気づかってくれて、考えてくれているんだということが分かる。
「ホテルの見張りだけが、気が重いです」
私がそうつぶやくと、「そうだね」と先生は苦笑いしていた。