こころ、ふわり


小樽では、有名な小樽運河を望んだあと各クラスで記念撮影して、たくさんあるお店を巡ってお土産を買ったりした。


綺麗な音色を奏でるオルゴールとか、細かな装飾が施された小物とか手作りで手の込んだものも多くあって、どちらかと言えば男子よりも女子の方が盛り上がっている。


雑貨屋さんの中にシンプルな革のメガネケースがあって、しばらく悩んで芦屋先生にお土産として購入した。


お土産と言っても、先生も同じお店を回っているのだからあまり意味が無いけれど、それでも何か買いたいと思っていたのでいいものがあって良かった。


以前に結膜炎でメガネをかけてきた時はあったけれど、治ってからはほとんどかけてこない。


家にもメガネケースなんてあるだろう。


分かっていても、喜ぶ顔が見たかった。


「萩、もう時間だって」


と菊ちゃんに声をかけられて、私たちはお店を出た。


真司が私を探していたらしく、遠くから手を振っていた。


「萩!こっち!」


「ごめんごめん」


「クラスの点呼取らないと」


慌ただしくクラスメイトの人数を数え、漏れのないように先生に報告をする。


観光やお土産選びは楽しいけれど、それ以外に実行委員のやる仕事もあったのでそれなりに疲れた。


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