こころ、ふわり
1時間ほど経った頃、他クラスの男女の生徒2人がこっこり私たちのいる非常階段にやって来た。
私たちが見張りとしてここにいるのは知っていたようで、最初から低姿勢だった。
「ちょっとだけ外に出てもいい?本当にちょっとだから!お願い。見逃して」
と、笑いながら男の子の方が両手を合わせてくる。
「どこ行くんだよ?」
真司が尋ねても、彼らは答えずに通してくれの一点張り。
修学旅行の規則にもある通り、夕食後は外出禁止であること、消灯後は部屋同士の行き来も禁止であることを伝えてみたものの、出かけたいと言って聞かない。
「なんで分かってくれないんだよ。面倒くせぇな」
と、だんだん男の子の方がイラついてきたのが手に取るように分かってきた。
なんとなくこのままでは押し通られそうな気がしたし、なによりも真司も怒っているようだったので私にはどうにも出来ない。
先生たちの誰かに来てもらおうと、私はそっとその場を離れた。