こころ、ふわり
長い廊下を小走りで通り抜け、エレベーターホールに出る。
そこには星先生と芦屋先生と、副担任の先生がいた。
あれ?徳山先生がいない。
そう思いつつも、とりあえずそんなことは置いておいて非常階段での状況を説明した。
すぐに芦屋先生が立ち上がる。
「じゃあちょっと俺が行ってきます」
星先生は少し心配したような表情を浮かべて「お願いね」と声をかけていた。
廊下を戻りながら、真司とあの男子生徒が何も問題を起こしていませんようにと祈る。
私と芦屋先生が非常階段に到着した頃には、真司と男子生徒が口論をしているところだった。
怒鳴り合いになっているので、一緒に来ていた女子生徒が焦っているのが見えた。
「ちょっと2人とも、落ち着いて」
芦屋先生が2人を止めるように間に割って入る。
男子生徒の方は先生が来てしまったと気づくなり、態度を一変させた。
「せ、先生、違いますよ。こいつらが変な言いがかりつけてきたんですよ。俺たちが抜け出そうとしてるんじゃないかって。そんなことしてないのに」
なんてひどい言い訳をするんだ、と私はびっくりしてしまった。
真司も呆れてしまって、何も言い返さない。
澪のクラスの彼が「俺たちは言いがかりなんてつけてない」と主張してくれた。