こころ、ふわり


私がエレベーターホールに来たからか、星先生は不思議そうに首をかしげていた。


「吉澤さん?さっきのはどうなったの?芦屋先生は?」


「さっきの騒ぎは芦屋先生のおかげで解決しました。でも、非常階段にも先生がいた方がいいって芦屋先生が残りました。私はこっちにいてほしいって」


「そう」


星先生が一瞬つまらなそうな顔をしたのを、私は見逃さなかった。


エレベーターホールには生徒は誰も現れず、ひたすら時間が過ぎるのを待ち続ける。


そのうち、あと20分で消灯時間になるという時に徳山先生がエレベーターに乗って現れた。


「あ、徳山先生」


星先生が気づいて立ち上がる。


「体調は大丈夫?」


「はい、もう大丈夫です」


うなずいた徳山先生を、私は思わず見つめてしまった。


体調は大丈夫?ってどういうことだろう?
徳山先生も体調が悪かったのだろうか?


澪も体調が悪いと言って見張り役には来なかった。


そして徳山先生も途中でいなくなった。


まさか、ね。


自分のあらぬ考えを急いで吹き飛ばした。


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