こころ、ふわり
すると、私たちのいるエレベーターホールに澪がやって来た。
突然現れた澪に私が驚いていると、彼女はお腹を押さえるようにして星先生に話しかけた。
「星先生、お腹が痛いので救護室に行ってきます」
「大丈夫?一緒に行こうか?」
先生が心配そうに澪の体を支えようとしたけれど、澪は「大丈夫です」と首を振るとエレベーターに乗り込んでいった。
ゆっくり閉まったエレベーターのドアをそのまま眺めながら、彼女は本当にずっと具合が良くないのかもしれないと思った。
徳山先生は、澪が行ってしまったにも関わらず追いかけることもなくその場から動かなかった。
結局、澪は戻ってくることなく消灯時間を迎えた。
私は解散したあと、澪のことが心配だったので1人残っている星先生に様子を見てくると伝え、すぐにエレベーターに乗り込んだ。
2つほど下のフロアに救護室が設けてあるのは知っていたので、手元の冊子で救護室の部屋番号を確認する。
救護室として決められている部屋をノックすると、「はい」と女の人の声が聞こえた。
中から出てきたのは澪ではなかった。
他のクラスの女子生徒。
彼女は私を見るなり「何か用?体調悪いの?」と聞いてきた。