こころ、ふわり
授業がもうすぐ終わる頃、私はようやくデッサンを描き終えてホッとひと息ついた。
しかし、自分の描いた絵をよくよく見るとなんだか違和感を感じる。
なんだろう?と思っていると、芦屋先生が
「じゃあ描き終わった人は裏に名前と出席番号書いて、ここまで持ってきてください」
と呼びかけた。
ゾロゾロと先生の元へ絵を提出しにクラスメイトたちが詰めかけ、列を成していた。
「これ、ありがとな」
真司が私に鉛筆を渡してくる。
「うん、どういたしまして」
受け取った私の目にチラッと真司が描いた絵が見えて、ちょっと驚いた。
意外と上手だった。
指示通りに自分の絵の裏に名前と出席番号を書いた私は、列の最後尾に並んだ。
終業のチャイムが鳴る。
絵を提出した人がどんどん美術室から出ていく。