こころ、ふわり
23 からっぽ
毎朝、電車に揺られながら通学している。
今日もそう。
朝のラッシュに耐えながら、毎日毎日同じ時間の電車に乗る。
今朝ほど気が重い朝は無かった。
昨日の夜、芦屋先生と話したことが頭から離れなくて、何度も何度も夢か現実かと自分に問いかけていた。
先生にクリスマスにもらったネックレスを、私は今日もつけてきてしまった。
クリスマスの日から今までほとんど外していた時は無かったから、つけないと変な感じがしたからだ。
たぶん、本当に先生を忘れて違う人を好きになる日まで、私はこのネックレスをつけ続けるような気がした。
未練がましいと思われるかもしれない。
でも実際に未練があったし、忘れたくても学校に行けば先生に会う。
少なくとも週に1回の授業で必ず会うのだから、どうしようもない。
距離を置きたいと言おうと思っていたのに、覚悟が出来なくて土壇場になって言わなかった私。
別れようと決めて実行した先生。
私のためを思って、誰にも言えない秘密の恋なんかじゃなくて、堂々とみんなに紹介出来るような新しい恋をしてもいいんだよ、っていう意味で別れを告げられたのは分かっている。
でもその優しさがつらかった。
朝の混雑する電車で、うつむいて泣くのを我慢した。