こころ、ふわり







どうにか涙を止めて、教室へ到着してすぐにまず真司が私を二度見してきた。


「おはよ」


と言いながら私の横を通過して、えっ?という顔をしてまた戻ってきて確認する。


「お前、どうしたの?その顔」


「別に普通だよ」


「普通じゃないだろ、それ」


面と向かって普通じゃないと言われると悲しい。


さっきトイレで確認した私の顔は、たしかに酷かった。


真司が私をまじまじと見つめている時に、後ろから澪と若菜が「おはよう」と声をかけてきた。


「おはよう」


私が振り向いて挨拶を返すと、2人は豆鉄砲でも食らったかのような顔をした。


「何があったの……」


と、若菜がつぶやいていた。


「ちょっと、ね」


私が曖昧に答えると、若菜は納得していないような表情になり


「まさか、前に言ってた好きな人に振られちゃったとか!?うそぉ〜」


とショックを受けたように嘆く。


即座に真司が目を丸くして私を見てきたけれど、その視線には気づかないふりをした。


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