こころ、ふわり


世の中の女の子たちに聞いてみたくなった。


みんな好きな人に振られてしまった時は、どんな風になるのか。


私みたいになってしまう人はどのくらいいるのだろう。


そんなことを考えながら美術室へ足を踏み入れた。


始業のチャイムが鳴り、少ししてから芦屋先生が美術室へやって来る。


数日ぶりに見る先生は、やっぱりかっこよくて私の胸はドキドキする。


そして同時に悲しくなって、切ない思いに駆られた。


今日の授業は前回の続きの版画作りだった。


先生が話している間、私はうつむいてなるべく顔を見ないようにつとめた。


顔を見たら泣いてしまいそうで、それが怖かった。


前回途中まで描いていた下絵を完成させて、彫刻刀で削り出す。


ひたすら無言で彫り進めた。


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