こころ、ふわり
24 踏み出す一歩
日曜日。
澪と遊ぶ約束をしていたので、私は出かける準備をしていた。
いつも大人っぽい澪にならって、隣にいても釣り合うように少しだけメイクをして、小綺麗なワンピースを着た。
いつか芦屋先生とのデートで着れたらいいなと思っていたワンピースは、その出番を果たすことなく終えてしまった。
先生にもらったネックレスをつけて、鏡越しに映る自分を見つめた。
目立つわけでもなく、目立たないわけでもなく。
可もなく不可もない約18年間を過ごしてきた私にとって、先生と過ごした数ヶ月が1番楽しかった気がした。
机の上に2ヶ月ほどずっと置いてあるものがある。
修学旅行で芦屋先生にあげようと思って買ってきたメガネケース。
渡さないままになってしまった。
捨てようかとも思ったけれど、それが出来なくて自分でも困り果てている。
まだどこかで先生に期待しているのかな。
素直になれるわけでもないし、本当にどっちつかずな私の気持ちだった。