こころ、ふわり
25 最後のお願い
はぁぁぁ〜っと長いため息。
もうここ2週間、ずっとずっとずーっとこのため息と一緒に過ごしてきた。
なんだかよく分からないまま玉木先生に芦屋先生とのことを聞かれ、あの時もっと強く否定することができなら良かったのに。
でも強く否定することが、芦屋先生と付き合ったことを否定するみたいでなんとなく嫌で。
そんな私のエゴで芦屋先生を窮地に追い込むようなことがあってはいけないのに。
あのあと、もしも芦屋先生の身になにかあったらどうしようと思っていたものの、特に変わった様子もなく過ごしていて、玉木先生は芦屋先生には何も言っていないのかそれすらも分からなかった。
私がこっそり芦屋先生の玄関ロッカーに入れたメガネケースに関しては、どうなったのか知らない。
芦屋先生がメガネケースについて何か私に言ってくるわけでもなかったので、私からも追求しなかった。
受け取ってはくれただろうから、そこから先は芦屋先生がどうしようと勝手なのだ。
もう一度ため息をつきかけた時、どこかで
「萩っ!」
と声が聞こえた。
顔を上げた時には遅くて、私の顔面をバスケットボールが直撃したあとだった。